第3回SCLセミナーダイジェスト 「僕らはこうして仲間を作ってきた〜ベンチャー流の人材採用、育成とは〜」 を公開!

2021年2月26日(金)に第3回SCLセミナー「僕らはこうして仲間を作ってきた〜ベンチャー流の人材採用、育成とは〜」 を開催しました。

当日は、リバネス 代表取締役副社長 CTOの井上の進行のもと、ベンチャー企業3社に自社で取り組んでいる採用や人材育成についてベンチャーならではの考えや手法についてお聞きしました。セミナーの内容をダイジェストにまとめましたのでぜひお読みください。

また、今回のセミナーでの議論の中で話題に上がったベンチャー企業の採用・人材育成のポイントは以下の通りです。

【ベンチャー企業の採用・人材育成のポイント】

  • ベンチャー企業は、設立初期や資金調達の前後で採用対象へ求める要素が異なる
  • 視覚情報を減らしたコミュニケーションによって内なる熱意を確かめることができる
  • 整った人材育成の系をもたない代わりに、熱意ある社員が挑戦できる場・機会を創ることで社員の成長を促す

 

【登壇者情報】

株式会社イーベック 代表取締役社長
土井 尚人 氏
信託銀行にて、経営企画部門、融資・株式公開支援などに従事。2002年7月に「株式会社ヒューマン・キャピタル・マネジメント」を設立し代表取締役、東証一部上場企業から大学発ベンチャー企業まで開業や新分野進出支援に携わる。
株式会社イーベックも起ち上げ時から取締役に就任し、2008年には国内バイオベンチャー初の欧州大手製薬とライセンス契約(一時金・マイルストーン総額88億円プラス売上ロイヤルティ)、2011年には国内製薬とライセンス契約(同130億円プラスロイヤルティ)。
AMI株式会社 代表取締役 CEO
小川 晋平 氏
熊本県熊本市出身。熊本大学医学部卒。循環器内科医。2015年11月にAMI株式会社を設立。心疾患の診断をアシストする聴診器「超聴診器」、質の高い遠隔医療を実現する「遠隔聴診ビデオチャットシステム」を開発中。2018年から熊本県水俣市において遠隔医療サービス「クラウド健進」の実用化に向けて取り組んでいる。主な受賞歴は第1回メドテックグランプリKOBE最優秀賞、C-startup Pitch最優秀賞など。2019年にはリアルテックベンチャーオブザイヤーグロース部門に選出された。
株式会社MOLCURE 取締役 CSO(最高科学責任者)
玉木 聡志 氏
慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科 政策・メディア博士 (2018)、日本学術振興会特別研究員 特別研究員(DC1)(2011-2014)、 奈良先端科学技術大学院大学情報科学研究科 理学修士(2011)、2015年より株式会社MOLCUREに参画、同社で人工知能と進化分子工学・実験ロボットを統合した次世代のバイオ医薬品探索技術の開発を行っている。
株式会社リバネス 代表取締役副社長 CTO
井上 浄
東京薬科大学大学院薬学研究科博士課程修了、博士(薬学)、薬剤師。リバネス創業メンバー。博士課程を修了後、北里大学理学部助教および講師、京都大学大学院医学研究科助教を経て、2015年より慶應義塾大学先端生命科学研究所特任准教授、2018年より熊本大学薬学部先端薬学教授、慶應義塾大学薬学部客員教授に就任・兼務。研究開発を行いながら、大学・研究機関との共同研究事業の立ち上げや研究所設立の支援等に携わる研究者。

 

 

井上
今回のSCLセミナーは「僕らはこうして仲間を作ってきた〜ベンチャー流の人材採用、育成とは〜」をテーマにベンチャー企業の皆さんにどのように仲間を集めて育成してきたのかお聞きしたいと思います。まずは自己紹介をお願いします。

土井氏
株式会社イーベックの土井尚人です。2003年に起業し、抗体作製事業に特化して抗体医薬の早期製薬化に取り組んでいます。2008年にはベーリンガーインゲルハイム社とライセンス契約を結びましたが、これは日本のバイオベンチャーとしては初の海外製薬会社との大型取引となりました。現在、抗SARS-CoV-2抗体の作製にも取り組んでいて、こちらは神戸の医療機関とも連携して進めています。札幌と神戸の2拠点あり、札幌は研究員が7名と神戸は3名います。神戸は昨年4月から本格始動しました。

井上
ありがとうございます!続いて小川さんお願いします。

小川氏
AMI株式会社の小川晋平です。2015年に起業して、医療機器の研究開発を行っています。メディカルメンバー中心で立ち上げましたが、今はエンジニアや博士が入社しており、バックオフィスも、優秀なメンバーが揃っています。オフィスは九州と関西、関東にあります。現在開発中の超聴診器は100均ショップで部品を揃えるところからスタートしました。現在はクラスIIの医療機器製造販売業を取得して薬事申請の段階に入っており、臨床研究とハード開発、AI開発をぐるぐると回しています。

井上
どういった経緯で起業や超聴診器の開発にいたったのでしょうか?そのあたりも教えていただけますか?

小川氏
ドクターヘリやドクターカーに乗り、急性期医療に関わっていました。電話だけじゃなくて、もっと質の高い遠隔医療が必要と思ったのがきっかけです。また、熊本地震の際に設備が足りない環境で診断を行った経験も大きな契機となりました。あとは心臓病で亡くなる人を減らすために、聴診で早期発見を行い、適切なタイミングでの治療を提供したいと考えています。

井上
ありがとうございます!それでは玉木さん、お願いします。

玉木氏
株式会社MOLCUREの玉木聡志です。今日は鶴岡からつないでいます。バイオとAI、ロボットで薬をデザインする会社です。直近では抗体やペプチドをターゲットにして取り組んでいます。2013年に会社を設立し、3名でスタートして現在は23名になりました。約5億円の出資を受けています。2018年にようやく製薬企業向けのサービスを開始して複数社に利用してもらっています。AIとロボットチームは新川崎にある本社にいて、バイオチームは主に鶴岡のラボにいます。

井上
2拠点で活躍中ですね!玉木さん、ありがとうございます。今回のセミナーは採用や人材育成がテーマとなっています。さて、まずは採用についてお聞きしたいのですが、皆さん会社のメンバーが20名を超える規模になっていて、初期の頃と現在では採用の仕方も変わってきてると思います。初期の頃の採用と現在の採用の変遷をぜひ聞かせてください。どう変えてきたのか?特殊な採用方法はあるのか?土井さんは採用過程で論文紹介をしてもらうなんて話も聞いたことがありますがいかがでしょうか。

土井氏
初期の頃は役割を最初から決めて適所適材で採用することが多いのではないでしょうか。そのため、いい人だなと思った人でも見送ることもあると思います。一方で、ある程度会社が大きくなると、とにかく自社に合ういい人をとって、入社後に本人の特性や育成状況に合わせて配置する適材適所になると思います。

井上
海外でよく耳にする「スタートアップが成功するためには最初の10人が重要だ」なんて話もありますが、採用にはその10人を集めるフェーズとその次のさらに仲間を集めるフェーズがあると思います。そのあたり、玉木さんはどう考えていますか?初期の頃は熱意や勢いみたいな要素も重要だったと思いますが。

玉木氏
最初のメンバーを適切に選ばないと失敗する気がしますね。初期の10人以下の頃の採用は慎重に行っていました。技術だけじゃなくて、夢とか実現したいことなど、その人のエネルギーをメンバーみんなで確認していました。また、メンバーが20人を超えたあたりで技術優先で決めたりするようになりました。1次面接はスキル的にも近い役員、2次面接は他チームの役員、3次面接では実際に働くチームメンバー全員と面接して、全員の同意を得て採用するようにしています。

井上
初期の採用では採用候補者の熱意をどのように確認していたんですか?また、資金調達によって採用の仕方は変わりましたか?

玉木氏
採用候補者と飲みに行っていましたね。今はなかなか飲みに行ける状況にないので、最初の10人を選ぶのは難しいかもしれません。また、資金調達後はバックオフィスや営業などの会社の機能を補う採用に変わりました。会社にこの機能が必要だから資金調達したいと説明しやすいですしね。

井上
なるほど。確かに資金調達ではそういった理由があったりしますね。小川さん、AMIではいかがでしょうか?

小川氏
地方のベンチャーは共通かもしれませんが、まずは私が一緒に働いたことがあるなど、繋がりのある人を中心に採用しました。最近は人の紹介ではなく、面談でQPMI(※)がある人を選んでいます。個人の成長にも関係する要素だと思っています。初期の頃と違って、知り合いだからというだけでなく、会社が進む方向と同じ方向に熱意をもっているかが重要ですね。

※QPMI:リバネスが提唱するイノベーションを生み出すための概念。Question, Passion, Mission, Innovation のサイクルのことを指す。

 

井上
さすがQPMI重視という訳ですね(笑)!資金調達していないリバネスは、もちろん熱意で採用しています。資金調達などの会社のフェーズによってやはり採用の目的も変わってきそうですね。

土井氏
資金調達だけじゃなくて人数にもよりますよね。それから採用する際にはやはりパッションも大事です。私は横に座っていっしょに食事をしたり、お茶をしたりするようにしています。正面だと視覚情報が多いので、表面的な情報にとらわれてしまう。それをシャットアウトすると内なる熱意が探れると思っています。この方法をいろんな会社で試しましたが採用対応の失敗が減ったと感じています。

井上
その時の表情で違った解釈が生まれてしまうことも確かにありそうですね。視覚情報によるバイアスを削った上で感じるものが大事なのかもしれませんね。

土井氏
第一印象ももちろん大事なのですが、横に座って話すとその人のイメージが変わって、この方法で面談時と入社後のイメージが食い違うことが減りました。

小川氏
私も思い当たることがありますね。今まで採用した人はカウンター席で食事していた気がします。横に座って、逆に自分の熱意を聞いてもらっていたんだと思います。それで入社を決めてくれたのかもしれません。

土井氏
ドラッカーの教えから、「何によって憶えられたいか」を持てとよく話しています。役員や社員に、死んだときに墓に何と書かれたいか?15年後の社史にどう載りたいか?を考えてもらうようにしています。人にどう思われたいかを考えると、どう頑張ったらそう思ってもらえるか、そのためになにやったらいいかを考えるようになるんです。さらにこれを書いてもらうと会社の方針に合う合わないが見えてきて、中には別会社を作ってそこでやりたいことに専念してもらった例もありました。

井上
なるほど。僕が普段感じているのは、社内外で活躍している人は自分を開示できている人のような気がしています。周囲が自分を理解してくれるという状況がどれだけ素晴らしいことかを理解できていると強いですね。土井さんのおっしゃる方法はまさに自己開示の一つの方法かもしれません。とても参考になる話ですね。神戸でも採用や人材育成の取り組みをぜひご一緒できると心強いです!小川さんのところではいかがでしょうか?

小川氏
うちでは外部のアントレプレナー育成プログラムへの参加を希望した社員を会社としても応援しています。そのプログラムに参加した社員が最優秀賞を2年連続でとってきたりしています。セミナーの参加も同様ですし、ピッチ、講演会にも私以外のメンバーが出れるようにしています。書籍も希望するものは会社が購入しています。現在は外部の開発コンペにエンジニアチームが参加しようと準備を進めています。特別なプログラムはないが、自ら学んで自らチャレンジすることを応援している感じですね。

井上
チャレンジできる場を熱意のある人向けに作っているということですね。すばらしい取り組みだと思います。玉木さんはどうですか?何か人材育成ためのプログラムを導入していたりするのでしょうか?

玉木氏
特にしていません。ガツガツとリーダーシップを発揮してアイデアを出してくれる人を採用して、機会を提供する感じですね。自分も若いので、誰かを育成なんておこがましいと思ってしまう。いっしょに学ばせてもらっているという感じです。

井上
チャンスがあるから好きにやってくれ、が育成になっていますね。きれいな育成系を作るのではなく、場を創るということも重要だと感じました。

 

第3回SCLセミナーの様子

 

井上
ここで視聴者から質問です。採用の際にパッション以外で評価したい点は何か?パッションがあるのは前提で、その他にほしい要素は何か?という質問ですね。皆さん、いかがでしょうか?

玉木氏
パッションがあるならそれに沿った努力があって、努力に伴った技術があるはず。勢いだけでなくて、熱意に沿った能力が備わっているかをみていますね。

土井氏
私はmust / will / canの重なりを探すようにしています。本人がやらないといけないこともある、本人にできること、能力も必要です。willはパッションですね。それが揃っている人がほしいです。

小川氏
具体的なスキルなら薬事について理解の深い人材がほしいです。他には、しっかり考えることができる、言われたことをやるだけでなくて、自分で考えて行動できる人を求めています。

井上
僕は自分に問う力も重要と思っています。改めてそれはなんだ?を考えられる人がいいですね。それでは皆さん、最後に一言、神戸への期待をお願いします。

玉木氏
これからの採用面談は横に座りたいと思いました。ごはんがおいしいところはイノベーションに必須!神戸もごはんがおいしいので社会を変えるようなイノベーションが起こせると思っています!

小川氏
もう絶対カウンターでしか話さないですね(笑)今後も神戸から世界に向けて研究成果が出ると思います。人や企業が集まり、自治体も協力な味方になっているすばらしい場になっていると思います。

土井氏
切りにくいのこぎりを使って時間をかけて木を切っている木こりに「のこぎりの刃を研いだら?」と言うと「忙しくて研ぐ時間がない」と答えたという例え話があります。刃を研いだらもっと木を切れるのですが、経営者や人材も同じだと思います。神戸で経営者どうし、社員どうし、神戸にいる企業で刃を研ぐ場を一緒に作りたいですね。

井上
皆さん、本日はありがとうございました。SCLでは入居ベンチャーを募集していますのでぜひお待ちしています!

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